2017-06-24

あざらしの寝姿

 彼の寝姿は「面従腹背」。





「川の字になって寝る」とよく言うが、真ん中の彼は意図してか、しないでか、ひねくれている。


奥で寝ているやつのことを好かないから、お尻を向けて、視野に入らないようにしているのか。


それか、手前のやつにモーションをかけやすい体勢をとっているのか。腹を見せて無防備なところを見せているのか。

2017-06-17

新宿駅

 新宿駅は、みんなお洒落をして、くたびれた顔で帰路につく。






これから出勤のお姉様、おネエ様方がいらっしゃる、少し前の時間。

新宿駅は、帰路につく人ばかりだ。

買い物とか、デートとか、映画とか、飲み会。あるいは、仕事、商談、接待。



 服には、朝なかった皺がついている。髪型や化粧も褪せている。何より違うのは、人の歩き方、姿勢だ。肩の位置が下がり、足を上げずに歩く。

家に帰ってシャワーを浴びる前の、一番くたびれた顔が新宿駅に集まる。

ちょうど、食堂の食器を流すベルトコンベアみたいな光景だ。



 この写真を見返す時、おれは自分の体調の良し悪しがわかる。

体調の悪い時は「みんなヘトヘトにくたびれて、街から遠い我が家に帰るのだ」と思う。

体調の良い時は「さんざん遊んで、帰って休もうね」と思う。

2017-06-13

父の亡霊を探して

 10年前に死んだ父の亡霊を探して、知らない町を歩いた。

言ってしまえば、それだけの事を文章に書いた。その日の夜、書きつけたものに、現像した写真をつけた。

ごく私的な、はずかしい話なのに、いてもたってもいられず、恥さらし。




 kindle unlimitedに加入している人は無料で読めますし、時々、無料配布もやるので読んでください。

2017-06-10

ツツジ

ツツジの狂い咲き。生殖の為に、咲き競い、恥じらいもなく誘惑する。







 花が咲き誇っているのを見て圧倒されるのは、そういう事だろう。生殖にかける気迫の凄さと、その誘惑の強い刺激。

生命と同時に死も匂うから、人間なんか怖気ついてしまう。

それを尻目に、ツツジは恥じらいなく咲く。その舞台は、自動車道路脇のちょっとした植え込みだ。場所も選ばず、置かれた場所で見事に咲く。



 これを人間がやったら、どうなるんだ。今だったら警察に捕まっちゃうのか。これを何重にもオブラートに包んで、人間は日常生活しているわけだ。

五社英雄の映画を思い出す。フィクションの世界で、人が花のようだった。逆に言うと、人間のようで、現実世界で見たことのない人ばかりだ。

だから憧憬するし、オモシロイ。じゃあ、何で日常生活で実際にやらないのか。やっている人がいるのを、おれが知らないだけかな。

2017-06-03

まるかいてちょん、の美しさ


円と直線の組み合わせは美しい。これは、もしかして、当たり前のことを言っているだけだろうか。

円と直線以外にも、多角形、曲線、点がある。そのなかでも、円と直線の組み合わせは格別だと思う。


人間の視覚を司る脳には、決まった視覚刺激に反応する細胞があると聞いた。おばあちゃんを見た時だけ反応する「おばあちゃん細胞」とか。

人間の脳には、円と直線に反応する細胞が、他に比べてたくさんあるんじゃないか。

それぐらい、目を惹きつける魅力がある。


円と直線の組み合わせは、隠語でもある。プリミティブな下ネタを表現するには、円と直線だけあれば十分。